第27章

大島莉理がトイレで手を洗っていると、指の隙間をすり抜けた水がさらさらと流れ落ち、背後のドアが押し開けられた。

振り返りはしない。誰かが用を足しに来たのだろう――そう思った。

けれど、その足音は莉理の真後ろで止まった。

大島莉理はそっと目を上げ、鏡越しに背後の加藤柚奈を捉える。すぐに視線を引き、手を拭いてそのまま出ていこうとした。

「ねえ、これ……見て」

加藤柚奈が、白い手首を差し出す。

そこには、白玉のブレスレット。異様なほど澄んだ光を放ち、彼女が手を揺らすたびにかすかに揺れた。

その腕輪を、大島莉理は知っている。

ずっと田中友里子の手首にあったものだ。結婚のとき、田中尚哉が...

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